学習塾は、もういらない? AIで塾の代わりを7日間試す方法

ノートパソコンを置いた木の机でノートに書き込む手元

月謝を払い続ける前に、無料のAIで試してほしいこと。

「そのお金、まだ払いますか。」第1回

目次

はじめに:その塾代、何のために払っている?

子どもの成績を上げるために、学習塾へ通わせる。

学校の授業についていけない。定期テストの点数が上がらない。高校受験が心配。だから塾に通わせる。その判断は、決して不自然ではない。

ただ、僕は一つの疑問を持っている。

勉強を教えてもらうためだけに、毎月何万円も支払う必要はあるのだろうか。

今は、わからない問題を写真に撮ってAIに質問すれば、解き方の説明を求められる。苦手な単元を伝えて練習問題を作ったり、理解できるまで説明の仕方を変えてもらったりもできる。こうした機能の一部は、利用上限はあるものの無料で使える。

それなら、学習塾の価値はどこにあるのか。

今回は、AIで塾の役割をどこまで補えるか、家庭で7日間試す方法を考える。実際の成績向上を確認した体験談ではなく、これから試すための手順だ。塾に通っているなら、まずは今の学習にAIを取り入れて確かめたい。

この連載で考えたいことは、「そのお金、まだ払いますか。」の導入記事にも書いた。安く済ませることだけを目的にせず、本当に必要な支援にお金を使いたい。

1. 日本の家庭は塾にいくら払っているのか

文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」によると、子ども1人当たりの年間学習塾費は次のとおりだ。

学校種年間学習塾費
公立小学校75,194円
公立中学校230,385円
私立中学校168,058円
公立高校(全日制)147,140円

出典:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」結果の概要・表6

これは、塾に通っていない家庭も含む平均額だ。実際に通塾している家庭の平均月謝ではない。

それでも、公立中学生では年間約23万円が学習塾費に使われている。

仮に月3万円の塾代を支払う家庭なら、年間36万円。中学校3年間では108万円になる。夏期講習や冬期講習などが別料金なら、さらに増える可能性もある。

もちろん、教育にお金をかけることが無駄だと言いたいわけではない。確かめたいのは、その金額に見合った支援を受けられているかどうかだ。

2. そもそも塾は何を売っているのか

塾の仕事を分けると、主に次の5つに整理できる。

  1. わからない問題を解説する
  2. 一人ひとりに合わせて学習計画を作る
  3. 練習問題やテストを用意する
  4. 学習習慣を身につける手助けをする
  5. 進路相談や精神的な支援をする

数学の一次方程式がわからない生徒に解き方を説明することと、勉強を嫌がる生徒が机に向かえるよう支えることは、違う仕事だ。

前者は知識や解き方を伝える支援。後者は行動や気持ちを支える仕事になる。

AIで家庭学習を試すなら、まずは「わからないところの説明」から始めると取り組みやすい。

AIはすでに「説明する仕事」の一部を担える

ChatGPTには、質問やヒントを通じて学習を支援する「学習モード」がある。無料プランでも利用できる。

解法を段階的に説明してもらったり、理解度を確認する問題を出してもらったりできる。わからなければ、もっと簡単な言葉や別の例で説明を頼めばいい。

利用上限の範囲で同じ質問を繰り返せるので、「さっき聞いたばかりだから」と遠慮する必要もない。

ただし、AIは間違えることがある。子どもの理解度を正確に判断できるとも限らない。

AIが説明できることと、AIによって成績が上がることは、同じではない。

だからこそ、説明を読んで納得したかだけでなく、AIなしで解けるようになったかを確かめたい。

3. 【実践】無料AIで塾の代わりを7日間試す方法

方眼ノートに数学の計算を書き込む手元

ここからは、中学2年生の数学「一次関数」を例に進める。まずは一つの単元に絞り、1日30分、7日間だけ試してみよう。

必要なのは、教科書、ノート、学校のワークと解答、そしてChatGPTなどのAIだ。ChatGPTは13歳以上が対象で、18歳未満の利用には保護者の同意が必要になる。保護者と使い方を決め、氏名・学校名・成績表などの個人情報は入力しない。

STEP 1:最初に、AIなしで実力を確認する

いきなりAIに教えてもらう前に、学校のワークから、その単元の問題を10問程度選ぶ。解答やヒントを見ずに解き、正答数と所要時間を記録する。

例えば、10問中4問正解だったとする。ここから7日間で、どのくらい自力で解けるようになるかを確かめる。

間違えた問題には、「式を立てられなかった」「グラフの読み方がわからなかった」など、つまずいた理由を短く書く。正答数だけでなく、何ができていないのかを残しておくと、AIに質問しやすくなる。

7日目に使う問題も、同じ単元・同程度の難しさで別に10問ほど用意しておこう。答え合わせには学校ワークの解答を使う。

STEP 2:AIに家庭教師になってもらう

ChatGPTの学習モードを開き、次の指示文を入力する。学年や単元は、子どもに合わせて書き換えればいい。

そのまま使える指示文

あなたは中学生向けの家庭教師です。

私は中学2年生で、数学を勉強しています。

次のルールで指導してください。

・最初から答えを教えない
・一度に一つずつ質問する
・間違えたらヒントを出す
・理解できたら類題を出す
・説明は中学生にもわかる言葉にする
・最後に、今日できるようになったことと苦手なことを整理する

今日は一次関数を勉強したいです。まず、私がどこまで理解しているか確認してください。

大切なのは、AIに答えを出させることではなく、自分で考えるための手助けをしてもらうことだ。式や考え方はノートに書き、AIの解答を写すだけで終わらせない。

AIの説明がおかしい、ワークの解答と合わないと感じたら、保護者と一緒に教科書や解答で確かめる。判断できなければ学校や塾の先生に聞く。AIの間違いを見抜く役割まで、子ども一人に任せないようにしたい。

STEP 3:毎日30分の学習を続ける

7日間は、次の流れで進める。

日程学習内容
1日目AIなしで実力確認・苦手分野の特定
2日目基礎事項の理解
3日目基本問題の演習
4日目間違えた問題の復習
5日目応用問題への挑戦
6日目苦手分野の再学習
7日目AIなしで最終テスト・振り返り

1日30分なら、7日間で合計3時間30分になる。

毎日の終わりには、ノートに「学習時間/自分で解けた問題/まだ苦手なこと/保護者の声かけが必要だったか」を1行ずつ残す。AIに頼った時間だけでなく、子どもが自分で考えた様子も見ておきたい。

学習時間を確保すること自体が難しい子もいる。AIがわかりやすく説明できても、毎日の開始に強い働きかけが必要なら、その負担も判断材料になる。

無料で使えるかだけでなく、子どもと家庭の両方が続けられるかを確かめる7日間にしたい。

STEP 4:7日後に、AIなしで成果を測る

最終日は、最初と同じ単元・同程度の難しさの、新しい10問を解く。AIも解答も見ずに取り組み、学校ワークの解答で答え合わせをする。

比較したいのは、次の点だ。

  • 正答数は増えたか
  • 解答時間はどう変わったか
  • AIのヒントなしで解き方を説明できるか
  • 自分から学習を始められたか
  • AIの誤説明でつまずくことはなかったか
  • 保護者の声かけや確認は、無理なく続けられる量だったか

同じ問題を使うと、答えを覚えただけの可能性がある。別の問題で、自分の力で解けるかを確かめよう。時間が短くなってもミスが増えていれば、単純な改善とは言えない。

また、7日間の結果だけで、長期的な成績向上や「塾が不要になった」とは判断できない。数週間後にも別の問題で確かめ、理解が残っているかを見たい。

塾や学校の授業と並行して試す場合、結果がよくなってもAIだけの効果とは限らない。それでも、どの場面でAIが役立ち、どこに人の支援が必要だったかは見えてくる。

4. AIと学習塾を比較すると何が見えてくるのか

サービスの特徴を整理すると、次のような違いがある。これは実験結果を示した比較ではない。

比較項目AI家庭学習学習塾
質問への対応利用環境・上限の範囲で随時可能授業時間や質問対応の仕組みによる
説明の繰り返し利用上限の範囲で繰り返し依頼できる講師や時間に左右される
学習費用無料プランから試せる月謝や講習費などが必要
学習習慣の管理自己管理や家庭の協力が必要通塾や宿題管理が支えになる場合がある
解説の正確性誤回答があり、教科書などで確認が必要講師の力量や確認体制によって異なる
進路相談情報整理の補助が可能地域情報や指導経験を持つ場合がある

AIは勉強を教える手助けができても、子どもが本当に勉強するかどうかまでは保証できない。

学習計画を作ってもらっても、スマートフォンで動画を見続けてしまえば、計画は進まない。保護者が毎日長時間付き添うことになれば、家庭の負担も増える。

逆に、自分で机に向かう習慣があり、わからないことを積極的に質問できる子なら、塾で行っている学習の一部を家庭で補える可能性がある。

塾が必要かどうかは、学力だけで決まるわけではない。

5. 塾をやめる前に、子どもに必要な支援を見極める

ここまで読んで「それなら塾をやめよう」と思った人もいるかもしれない。でも、僕はすべての子どもに退塾をすすめたいわけではない。

AI中心の家庭学習を試す価値があるケース

自分で学習を始められる。学校の授業内容をある程度理解している。わからない問題を自分から質問できる。

こうした子は、AIを使った家庭学習と相性がよい可能性がある。塾で行っていることが問題演習と解説中心なら、その一部を家庭で再現できるかもしれない。

まずは一つの単元で試し、学校のワークや定期テストで、自力で解ける状態が続くかを見ていきたい。

人の支援が重要になりやすいケース

勉強を始めること自体が難しい。学習への不安が強い。家では落ち着いて勉強する時間や場所を確保しにくい。受験に向けて継続的な管理や相談が必要になっている。

そうした場合、塾や学校の先生など、人の支援が大切になることがある。

塾が提供するのは知識だけではない。決まった時間に通う環境、先生との関係、周囲の生徒から受ける刺激も含まれる。

AIを試して学習が進まなかったとしても、子どもの努力不足と決めつける必要はない。「説明」以外にどんな支援が必要かを知る材料にすればいい。

続けるか、回数を減らすか、苦手教科や受験期だけ利用するか。子どもの意見も聞きながら、必要な支援と費用を考えたい。

6. 僕たちが本当に買うべき教育とは何か

教材を開き、ノートの内容を一緒に確認する人たちの手元

僕は、これからの教育で大切になるのは「自分で学べる力」だと考えている。

わからないことがあれば、先生や本に加えて、AIにも聞けるようになった。説明を受けるためのハードルは下がっている。

だからこそ、何を学ぶかを考え、疑問を持ち、情報を確かめ、自分で行動する力を大切にしたい。

AIが普及すればするほど、答えを教えるだけのサービスには、料金に見合う価値を説明することが求められると思う。一方で、子どもの意欲を引き出し、自分で学べるように支える教育の価値は残るはずだ。

僕は、学習塾という場所をなくしたいわけではない。

高いお金を払わなければ十分に勉強できない。そんな状況を変えたい。

AIで学べる部分が増えれば、家庭にあるお金の多さだけで、学ぶ機会が決まる状況を少しでも変えられるかもしれない。その可能性を、最初からないものにはしたくない。

まとめ:塾代を払う前に、7日間だけ試してみよう

AIだけで学習塾の代わりができるのか。すべての子どもに対して「できる」とは言い切れない。

ただ、塾が担ってきた仕事の一部を、家庭でAIと一緒に試せる環境はある。

だからこそ、まずは7日間、苦手な単元を一つ選んで試してみてほしい。通塾中なら、いきなりやめずに今の学習へ取り入れればいい。

AIなしで解ける問題が増えたか。自分から学習を始められたか。家庭の負担は続けられる範囲だったか。その結果を見てから、塾に何を任せるかを考えよう。

教育にお金をかけることと、教育を大切にすることは、必ずしも同じではない。

大切なのは、子どもが本当に学べているかどうかだ。

その塾代、何のために払い続けるのか。

一度立ち止まって確かめる家庭が、少しでも増えたらいいと思う。

参考資料

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この記事を書いた人

こんにちは、モロヘイヤです。平均年収より少し下の、20代後半の会社員です。民間の教育機関で働いています。

「学び・仕事・お金・健康・好きなこと」を軸に、自分の経験と試行錯誤を発信。愛用品は、自分で買って使い、本当にすすめたいものだけを紹介しています。

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